「ペットを愛する方のための遺言講座」結果報告

2018年11月25日(日)、大阪市立総合生涯学習センターの第5研修室で「もしもの時、あなたのペットは大丈夫?! ペットを愛する方のための遺言講座」を開催しました。12月がまじかというのに初秋のような気持ちの3連休にもかかわらず、23名の方が愛犬・愛猫のために参加してくださいました。

講演【1】は、司法書士 木村貴裕さんによる「はじめての遺言書…知っているようで知らない遺言書」。遺言は、遺された家族の「トラブルをできるだけ避けるために」、そして自身が「これからを安心して過ごすために」元気なうちに用意しておくもの。
そのために必要な知識、たとえば遺留分(法定相続人に遺産のうち最小限の割合が確保される)や遺言書の種類、さらには来年度から民法が改正される自筆証書遺言についてなど、わかりやすく丁寧に解説していただきました。

講演【2】は、弁護士 檜山洋子さんによる「ペットのための遺言書…ペットに資産を遺す方法と事例」。ペットは民法も刑法もともに「物」としての扱いをうける存在。「動物愛護管理法」や「慰謝料請求裁判」では特別扱いされうる動物も、こと相続となるとやはり「物」として扱われます。ペットが終生幸せに過ごせるためには、ペットの行く末を飼い主が信頼できる第三者にペットの所有権を承継するよう遺言をしておく必要があります。そのための遺言書の例文も用意していただきました。そしてペットに財産を遺す方法として負担付遺贈・負担付死因贈与・信託があり、それぞれのメリット・デメリットを教えていただきました。

講演【3】は、ペットライフネット代表の吉本が「ペットのためのエンディングノート『ペットの終活×人の終活』」を紹介。モノをいうことができないペットのためにも、ペットの習性や好みをしっかりと書き留めることから始めてほしいと力説しました。
150分の長丁場でしたが、みなさんメモをとりながら真剣に耳を傾けていました。ペット愛にあふれた講座でした。

アンケート結果より

(1)本日のセミナー全体の感想をお聞かせください。
参加してくださった23名のうち、21名がアンケートにご協力くださいました。しかも、「大変満足」と「満足」をあわせると9割を超えていました。
その理由をお聞きしましたら、
  ・自分が先に死んだらウチの仔はどうなるか…と、気になっておりました。
   具体的にどうすればいいのかという話がきけて、すべきことの道筋が見えた
   ように思います。
  ・法律の難しい内容かなと思っていたのですが、自分自身の意識を変える      
   いい機会になりました。
 ・今後必ず必要になってくるセミナーであるため、非常に勉強になった。
…などなど、大きな評価をいただきました。
一方で、「いろいろと勉強になりました。また、疑問も出てきました」というご意見もあります。新たな疑問に応える機会を用意する必要を感じました。

(2)次回の「ペットのための遺言講座」では、どのような講座をご希望でしょうか?(複数回答可)
半数以上の方が「ペットを愛する単身者のための相続と遺言」をリクエストされました。単身者とペットの問題、これから大きな課題になってくると考えられます。
また、「家族がペットを引き取ってくれない場合の相続の仕方」についても7名の方のご要望がありました。ペットの行く末を想うと、飼い主さんの悩みの深さが伝わってくるように思えます。

(3)NPO法人ペットライフネットは、高齢者とペットがともに安心して暮らせる社会を築きたいと願っています。
そのためにセミナーや勉強会を開催していますが、以下のテーマのなかで関心がある、参加してみたいと思われるものがありましたら、〇をつけてください。(複数回答可)

圧倒的に多かったのが「高齢者が終生飼養を実現するための手法や人的ネットワークづくりについて」の14名。また、「高齢者を対象とした保護動物の譲渡方法について」にも9名の方が関心を寄せておられます。
高齢になっても動物と一緒に暮らしたいという切実な思いがひしひし伝わってくる結果になりました。

(文責:吉本)