保護犬の心を解きほぐして、新しい里親に託す。

森田さん①大阪市内からクルマで小一時間、奈良の市街地、のどかな田園風景のなかにケアファミリーのももえさんのお宅があります。2階建ての住宅が3棟、平屋の棟続きの物置、畑と600坪の広大な敷地。そのなかには、プレハブのトリマー室も完備されています。住んでいるのは、ももえさん、ご主人、お母さんの3人に、フレンチブルドッグのヒチちゃん。そして時折、いろんな理由で飼い主を失った保護犬が身を寄せて、ももえさんのお世話を受けています。

ももえさんがおこなっている「ケアファミリー」という活動は、愛護団体が保護した動物に里親さんがみつかるまでの間、里親さんになり代わってお世話をするものです。「一時預かり」ともいいます。いわば、動物との出会いと別れが繰り返される、ちょっと切ない活動です。しかし、人を信じることができなくなって、自分の殻のうち閉じこもってしまった保護犬たちの感情のシコリを解きほぐし、人と共に生きることに歓びを見出させるようにするのがケアファミリーの重要な役割です。無私の愛情を不幸な目にあってきたワンちゃんたちに注げる方にしか、この活動はできません。
先日、5カ月と10日、ももえさんの元で大切に可愛がってもらっていたブルドッグに新しい飼い主が見つかりました。譲渡後にわかったことですが、何と新しい里親さんは4年前にももえさんの元から引き取られた8歳のブルドッグの里親さんと同じ方でした。前のブルドッグが11歳で他界し、新しい子を探しておられたのです。亡くなったブルドッグが、「この飼い主さんなら大丈夫だよ」とももえさんを呼び寄せたのでしょう。

ペットショップで出会ったガリガリのフレンチブルドッグ

ももえさんは、物心ついたころから動物と一緒に暮らしてきました。若い頃には、犬の訓練所でも働いたことがあります。そんなももえさんが、12年前、たまたま通りがかったペットショップでガリガリにやせ細り、目ばかりがギョッロと光っている生後3カ月ほどのフレンチブルドッグ出会ってしまいました。あまりにも酷い飼い方に憤ってしまって、15万円で買ってしまいました。それが、ロクちゃんです。その後、同じくフレンチブルドッグのヒチちゃんを飼い、ブルドッグの魅力に取りつかれたといいます。何とも犬らしくなく、親のいうことに従順でない彼ら。ロクちゃんはことあるたびに脱走をし、「脱走のロク」とあだ名されたほどです。愛おしいロクちゃん、わずか1年後に死亡。その後に来た「小ロク」は、心臓を患い半年間の闘病の末、8歳で亡くなりました。今は、犬嫌いのヒチちゃんが、ももえさんを独り占めしようと必死です。森田さん③

5年前、ももえさんは1年間専門学校に通い、トリマーの資格をとりました。お宅の敷地のなかにはトリミング専用のプレハブが建てられています。トリミングに必要な専門機材が完備されたトリミング室です。ここまでして、トリマーになりたかった理由をお聞きしますと、フレンチブルドッグの顔、なかでも特徴的なあの鼻の小じわのひだをきれいに洗いたかったから。それほどまでに、フレンチブルドッグにぞっこんです。

人と動物の安らぎとくつろぎの場

ケアファミリーとしてのももえさんのところには、動物愛護活動をしている仲間たちが動物を連れてしょっちゅう遊びにきます。ときには、ももえさんの手を煩わせてトリミングをお願いすることもあります。そんな時、一緒に連れてきてもらったワンちゃんたちは広い庭でじゃれ合ったり、走り回ったり。犬も人も、まったりとした安らぎのひと時を愉しみます。
近々、本格的にドッグランが楽しめるように整地し、ドッグカフェも併設できれば、動物たちの新しいふるさとになるにちがいありません。ももえさんの手元から巣立った子たちも、それを心待ちにしているでしょう。

 

文責:吉本 由美子

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