2017年1月14日(土)16時から、キャット・ソシオンで「譲渡活動の現状と課題、そして高齢者への譲渡について考える勉強会」を開催しました。
参加者は大阪で譲渡会を開催している4団体(「高槻ねこの会」「にゃんクルー」「みやママとチカの里親会」「キャット・ソシオン子猫の譲渡会」)、「大阪ねこの会」、「ネコアアパートメント」、社会福祉協議会の方に新聞記者と総勢14名。
最初に保護団体のみなさんから譲渡活動の昨年の成果をお話いただきました。
■昨年の譲渡実績は4団体で約150匹。
4団体とも譲渡会は、月1回のペースで開催。譲渡数は、1団体で40匹強という実績です。参加団体だけで、昨年150匹の保護猫が新しい家族のもとに引き取られたわけです。
譲渡費用は、避妊・去勢手術・ウイルス検査・ワクチン接種を条件に猫の個体条件よっても異なりますが、ほぼ1万円から3万円。この費用で譲渡活動を十全に賄うことは困難で、ほとんどの団体が持ち出しを余儀なくされています。病気を発症した仔の医療費を考慮すると、平均1匹5万円が妥当ではないかという結論になりました。
譲渡すればするほど赤字になる現状をどうしているのか尋ねましたら、譲渡会で入場料を徴収する、猫問題の相談者から不用品などをいただきバザーで販売するという回答をいただきました。しかし、これだけではボランティアの負担の軽減には程遠いものがあります。猫の譲渡活動にワンコインサポーターを募集する、あるいは「アニマル・ドネーション」(動物関連限定の寄附サイト)などに応募するといったアイデアがでましたが、今回の勉強会では十分に検討できませんでした。この課題は、また別の機会を待ちたいと思います。
■飼うのをあきらめている高齢者も譲渡対象に。
次に、ペットライフネットから高齢者への譲渡問題についてみなさまの意見をお聞きすることにしました。
行政が保護動物を譲渡する際、具体的に譲渡対象者の年齢を定めている行政がほとんどです。一番厳しいのが東京都で「20歳以上60歳以下」。比較的年齢幅があるのが神戸市の「20歳以上74歳未満」です。行政が高齢者に譲渡を許さない以上、動物一緒に暮らしたいと願う高齢者は生体販売をしているペットショップに向かわざるをえません。また、「殺処分ゼロ」を実現するには、殺処分されている年間8万2902匹の犬猫を引き取ってくれる譲渡先を開拓しなくてはなりません。
日本おける高齢者は、ずいぶんアクティブになっています。日本老齢学会は高齢者の定義を「75歳以上」に引き上げるべきだと提言しました。保護動物の譲渡対象も、この提言に準じて「准高齢者」(65歳~74歳)に緩和すべきではないでしょうか。
また「終生飼育」が困難であれば、「ケアファミリー」(一時預かり/里親が見つかるまでの間面倒をみる)として高齢者を犬・猫の飼養者として汲み入れてはどうかという提案をしました。
しかし、高齢者の飼育スキルやもしもの時(病気、死去など)対策などを考えると、「終生飼養委託金」的な金銭面での保障が不可欠になってきます。資金的余裕のない高齢者は犬・猫と暮らすことができないのかという厳しい意見もいただきました。難しい課題ですが、真剣に考えていきたいと思います。
勉強会の最後のまとめで、参加者の中から「猫助けが人助けになるような仕組みと活動をしていこう」という意見がでました。私たちの願いを集約したいい言葉です。今年1年の活動の目標にします。
※当日の資料「高齢者ケアファミリーネットワークの提案」