『わんにゃお通信』vol.1 2020.夏号

特集
ご心配のみなさま! これだけは気をつけて。

ウイズ・コロナ コロナとともに安全なペットライフ

 
わが家の犬、猫に、新型コロナウイルスは感染する?

世界中から、ペットの感染に関する報告や研究が、いくつか報告されています。その多くは、Preliminary Report と言う、初期報告です。「人から猫にコロナがうつったと思われる症例がうちで出ましたよ」「実験的に数匹の犬にコロナを感染させてみたら、何日間もコロナが鼻腔にいたよ」といった報告です。

その後、「ペットにも感染するという報告があるから、本腰を入れてちゃんと研究判明しないといけないね」となり、多くの研究施設で、実験規模、対象動物の数、調査方法や精密度など、より洗練された、高度な実験や研究に進みます。これらの、レベルの高い研究、実験は、その後、複数の専門家がちゃんと細部を確認し、信ぴょう性の高い重要な報告として、認められます。これを査読プロセスと言います。

新型コロナウイルスに関する報告は、まだ初期報告です。もちろん、だから信用できない、という事ではありませんが、今の段階では、まだよくわかっていない、というものです。今後のさらなる研究発表を待つしかありません。

以上をふまえて、現段階で、新型コロナに関する専門家の見解は、以下のようになっています。

  1. 新型コロナウイルスは、基本は人のウイルス。人から人への感染が主流。
  2. 人から犬、猫への感染は、おそらく、少数起こっているだろう。しかし、感染したとしても、多くのペットはくしゃみ、発熱、鼻水といったコロナ症状は呈さない。
  3. コロナウイルスを持った犬、猫が、人に感染させるという事実は、今のところ証明されていない。
  4. ただし、犬や猫の気道にウイルスがいれば、そこから人へ感染する可能性はあるだろう。よって、コロナウイルスと濃厚接触したペットは、マスク着用などで、注意して扱うべきである。
  5. 新型コロナウイルスの感染拡大に、ペットは大きな役割を担っていない。

 
もし、私がコロナにかかったら。友達がコロナになり、お世話を頼まれたら。

このご時世、その時のために、準備をしておく必要がありますね。

まず、新型コロナに感染した飼い主の犬、猫は、「濃厚接触動物」とみなされます。犬や猫に症状がなくても、鼻腔、気管に、ウイルスがいる可能性があります。

自分が感染し、入院している期間など、お世話を家族や友達にお世話を頼む時は、以上を踏まえて、お世話する人が感染しないように注意しなくてはなりません。適切な防護具(抗ウイルスマスク、フェイスシールドなど)の着用が望まれます。詳しくは、最寄りの動物病院、保健所等に相談してください。

 

自分のペットを、コロナウイルスから守るにはどうすればよいか。

答えは簡単です。まず、自分がコロナウイルスに感染しないこと。次に自分のペットが、自分以外の他人や他のペットとの接触を、最低限にすることです。

猫の場合、外に出さないことです。自宅には来客を入れず、自分がコロナに感染なければ、猫も感染しません。

犬の場合は、散歩時に、他人や他の犬との接触をできるだけ避けること。外で遭遇する人と犬は、「無症状だけど、コロナを持っているかもしれない」と想定しましょう。なるべく近寄らない、なでさせない。自分たちも立ち話をしない。なるべく他人や他の犬がいない時間帯を選んで散歩させる、などです。自分も、犬も、ソーシャルデイスタンスです。

ドッグランも残念ながら、感染源となる可能性は否定できません。まして、公園などでリードなしで遊ばせるのは、自分の犬が感染する危険が増えるばかりか、他人や他の犬に感染させるかもしれない、という迷惑行為になります。

どうしても行かなくてはならないところー動物病院とか、トリミングサロンとかーの場合は、3密や換気対策があるか、など衛生的な施設を選び、またスタッフが、マスクやフェイスシールドといった感染予防を徹底しているところを選びましょう。

 

それはかわいそう?
 
うちの犬はドッグランでじゃれ合わないとストレスになる。うちの猫は外に出ないと怒りだす、など、簡単ではない場合もあるでしょう。

はい、もし、今までどおりの生活が、安全であるならば、今までと同じように続けたいです。

しかし、今、世の中はウイズ・コロナ。私たちも、居酒屋、ライブハウス、映画館、スポーツ観戦などの機会を減らし、学生は教室からウエブ授業に代わり、会社から自宅で仕事をするようになり、新しいスタイルを模索しています。自分の犬、猫もそうです。新しい遊び、新しい形のペットとの交流、新しいタイプのペットの運動。自分の最愛のペットの幸せのために、ストレスにならない新しいライフスタイル、ウイズ・コロナスタイルを、考えてあげてください。

 

獣医師・シェルターメディスン
西山 ゆう子(にしやま ゆうこ)さんのプロフィール

1986年 北海道大学獣医学部卒。東京と北海道の動物病院に勤務後、米国ロスアンゼルスに移住。米国獣医師免許取得。勤務医を経て、カルフォルニアガーディナ市に開業。2014年に同病院を辞任。保護動物の臨床の先駆者として、シェルターメディシンと獣医法医学を専門とする。動物虐待、医療ネグレクト、地域猫問題、多頭飼育崩壊など講演を多数行う。

主な著書「小さな命を救いたい!」(エフエー出版)、「セイン・グッバイ」(駒草出版)「いい獣医さんに出会いたい」(ポット出版プラス)他多数。

2017年神奈川県動物愛護協会賞受賞。1男1女の母。誰にも負けない高齢出産が自慢。