うちの子になってくれてありがとう。

「うちの子になってくれてありがとう。」

ほぼ毎日、私がうちの猫にかけている言葉です。

ズラちゃん(♀、推定8歳以上)が来てくれてから、私達夫婦の生活は猫中心になり、猫からたくさんの幸せな時間をもらっています。

ズラちゃんがうちの子になった経緯はちょっと変わっています。

出会いは2008年8月、ちょうど7年前です。081125_1918

我が家の道を挟んだ向かいに、老朽化のため取り壊し予定の社宅がありました。次々と住人が立ち退いてゆく中、最後まで残っていた男性が、猫に餌付をしていたため、住人無き後、そこには数十匹の猫たちが勝手気ままに暮らしていました。しかし、いよいよ取り壊しが近づくと、餌付をしていた男性も去り、猫たちも1匹、2匹と居なくなっていきました。きっと、たくさんの猫たちの中でも要領が悪くて、他の猫たちが食べ残した餌をこっそり食べていたと思われるうちの子は、初めて会った時、子猫かと思うほど小さくて貧相、柄もカツラに鼻水という、お世辞にもかわいいとは言えない猫でした。

しかし、お互い何か感じるところがあったのか、大人しくて控えめな性格ながら、他の猫に襲われないよう、毎日、停まっている車の下で私の帰りを待っていました。そのうち、私の後を追って道路を渡り(これは猫には勇気のいる行動らしく、他の猫は道路の手前で立ち止まり、渡ってきませんでした)、我が家に遊びに来るようになりました。2時間ほど我が家で過ごし、その後ねぐらに送っていくという生活を3ヶ月ほど続けるうちに、時々泊まっていくようになり、夫もとうとう「うちの子にしようか」と言いました。

犬も猫も飼った事のない夫にとっては、初めて飼うペット(ハムスターとインコは飼っていたそうですが)、猫は幼稚園の時に一度飼っただけで、その後ずっと犬派だった私。2人ともほぼ初めての猫との生活でしたが、ズラちゃんがとても賢くて、手のかからない子だったこともあり(それは、後々猫を飼っている人から聞いて分かったことですが)、2人と1匹の生活は問題なく今日に至っています。

ズラちゃんが手のかからない猫だと分かったのは、

①毛玉を吐かない(舐めた毛はどこにいっているのか?)。zura2(PLN)

②ケージなしでお出かけでき、車の移動中も私の膝の上で大人しくしている。最長5時間の車移動にも耐え、気持ちが悪くなると、ニャっと小さく鳴いて、休憩時を知らせる。

③キャットフードもいっきに食べず、自分で体重管理をしており、我が家に来た時から0.2キロしか体重が増えていない(現在2.6キロ)

③人間の食べ物を欲しがらない。食事時もそばで大人しく寝ている。

④人間に遊んでくれとせがまない。猫じゃらしも猫用おもちゃも興味なし。ペットボトルの蓋や消しゴム、ボールペンが大好きで、それらを見つけると、夜中に1人で遊んでいる。

とは言え、実はとてもさみしがり屋の甘えん坊で、お留守番が大の苦手です。

私が帰るといつも玄関まで出迎えに来てくれますが、ちょっと帰りが遅くなると、扉を開けたとたん、遅いよ~と言わんばかりに扉の前で待っています。

私がお風呂やトイレに入ると、ドアの前で待っていて、ベッドに入るときも一緒です。

しかし、朝起きて餌をやるのも、トイレのそうじも夫がしているのに、なぜか夫には玄関へのお出迎えもお風呂やトイレの待ち伏せもなしです。このツンデレがますます夫の気持ちをかき乱すようで、仕事上の取引先担当者にもズラちゃんの写真を見せ、「可愛いですね~」(先方は言わざるを得ないと思いますが)と言われたとご満悦で、最近ではズラちゃんの柄は黄金比率などと、親バカっぷりを発揮しています。zura(PLN)

よく、猫を飼うと人生が変わると言いますが、私の場合も例外ではありません。私生活ではもちろんのこと、仕事の面でも猫を飼っていなかったら出会わなかったであろうことがあります。その最たるものが「わんにゃお信託」です。

私の仕事は行政書士で、主に相続や公正証書遺言の普及に力を入れています。その中で、自分が亡くなった後、ペットのことを心配される方から相談を受けたことをきっかけに、「わんにゃお信託」と出会いました。もし、ズラちゃんを飼っていなかったら、その相談者の言葉も今ほど重く受け止めていなかったかもしれません。

なんの備えもせずに飼い主が亡くなった場合、残されたペットはほぼ殺処分されます。終活という言葉が定着してきた昨今ですが、その終活のなかにペットのための備えも加えて欲しい、ペットに資産を遺す方法があるということを知ってもらいたいと、出会う人ごとに説明しています。今ではペットの行政書士さんと呼ばれることもありますが、自分が猫を飼っていなかったら、ここまで真剣に遺されるペットのことを考えることはできなかったと思います。

これからも、公私ともにペットと関わり、幸せなペットが増えるお手伝いをしたいと思っています。

(山本 光子)