「動物行政の現状と課題」結果報告


2018年7月1日(日)、大阪市立総合生涯学習センター第一研修室で「~議員の方々とともに学び、考える勉強会~ 2018年度 動物行政の現状と課題」を開催しました。関東では梅雨明け宣言があり、初夏の到来を思わせるお天気でした。優に100人を超える事前申し込みがあり混雑が懸念されましたが、88名の方がご参加くださいました。
午後1時半、満席になか、共催したNeko Apartmentのヤマダアミカさんの開催趣旨宣言でスタートを切りました。
基調講演【1】は、弁護士の細川敦史さん。今年は動物愛護管理法が改正されると期待されているのですが、なかなか前に進んでいないのが現状です。浅田美代子さん、渡辺眞子さん、それに細川敦史さんが発起人になった「動物の愛護及び管理に関する法律の改正を求める署名活動」では18万筆も集まったにもかかわらず、いっこうに改正への機運がみえません。ここへきて、超党派で構成される「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟「動物愛護法改正プロジェクトチーム」が秋の臨時国会に向けて60項目にもおよぶ改正に向けての骨子案が成立したという現状を紹介してくださいました。
基調講演【2】では、大阪府府会議員の横山英幸さんが登壇。昨年に実施しました「動物行政の現状と課題」で、NPO法人C.O.Nさんから尼崎市が実施している「動物愛護基金」を紹介していただきました。この事例を参考に、厳しい反対意見を押し切り、説得し、4月に大阪府も「動物愛護基金」を創設。その多難な経緯をお話していただきました。
基調講演【3】は、大阪市市会議員のホンダリエさんが従来からある「街ねこ制度」を刷新し、不妊去勢手術費用を1匹あたり5,000円だった負担を一挙に半額の2,500円になったことを紹介してくださいました。しかし、この事業を推進するためには、地域住民や関係者の理解を得ること、すなわち「合意形成」が不可欠であるとダメ出しがされました。
休憩をはさんだ後の「ブレーンストーミング」には、「大阪ねこの会」の代表、荒井りかさんもゲスト参加。
(1)府や市で取り組める条例や規則はあるのか
(2)動物愛護管理基金への期待と使途
(3)猫問題をさらに推進するためには(不妊去勢手術費用、町内会との合意形成他)
(4)行政とボランティア、府民・市民とのットワークをつくるためには
(5)2週間前に起った大阪府北部地震の経験をもとに、防災とペットの問題にどう取り組むか
以上の5項目にわたって、本音で語り合いました。

荒井りかさんがブログ「パピのねこ日記」で報告してくださいました

7/1(日)NPO法人ペットライフネットさん主催の「動物行政の現状と課題」セミナーが開催されました。
共催の NekoApertment ヤマダアミカ代表より開催趣旨宣言。

知っていくこと、関わっていくこと、そして改善していくこと
大阪府・大阪市に対する思い、この勉強会の大切さを語って頂きました!

 

 

基調講演1
動物愛護のために国ができることは何か?
「動物愛護管理法の改正について」細川敦史弁護士

まずは動物愛護管理法改正の今までの流れを簡単にご説明いただきました。

そして、今年2018年の改正予定の内容について
ぜひ改正頂きたい内容ばかりですね!

改正を求める署名もたくさん集まっていましたがなかなか動きが鈍く、ここに来て停滞気味のようです。
もっともっと私たちが声をあげていかなければなりません!!

この改正が必要な根拠についても説明いただきました。
劣悪な環境にあった繁殖業者や引き取り業者などの例。

このあと、「大阪府や大阪市ができること」に対するご提案。
法律内での条例の制定などを他例をあげてご説明いただきました。

基調講演2
動物愛護のために大阪府ができることは何か?
「新設の動物愛護基金について」横山英幸・大阪府会議委員

大阪府府議会議員横山先生からは、大阪府にできた「大阪府動物愛護管理基金(仮称)」について。

設立にあたり、かなり苦労なさったというお話。それでも踏ん張って設立にこぎつけて下さいました。
横山先生、ありがとうございます!!

今年はまだ予算が少ないのですが、すでに寄付も集まっており来年からは増える見込みだそうです。
継続した寄付がないと困りますので広報もしていかないといけません。

気になる使いみちですが
1.専門家によるトリミング・しつけ等によって譲渡を促進する事業
2.所有者のいない動物(野良猫、特に子猫)を減らす事業
3.手厚い管理が必要な収容動物を救う事業
とりあえず今のところ、この3点だそうです。

この3点が充実すれば、ずいぶん変わってきますよね!!
横山先生の担当では、動物のことは関係ないらしく、ではなぜ動物に関わることを?

「目がグシャグシャになっている子猫と出会ってしまい放っておけなかったので動物病院へ連れて行きましたが
助けてあげられなかったのです。
その時の思いがあってそんな可哀想な子猫がいないようにできないかと考えいろいろと勉強させて頂いて今に至ります。」

え~っ!!私たちと同じですや~ん!!(笑)

そして大阪府域の動物に関する事業担当や相談窓口、助成金制度などについてもご説明いただきました。

助成金制度を設けている市町村は、北の方に多く南の方が少ないようです。

基調講演3
動物愛護のために大阪市ができることは何か?
「街ねこ制度の刷新について」本田リエ・大阪市市会議員

本田先生からは大阪市の「街ねこ制度」の刷新について。
平成20年度から始まったこの制度、ずっと1匹5,000円の手術費用(ボランティアが払う)だったのが
半額の2,500円になりました!!

5~6年前から、市内に安く手術して下さる病院もできたので、もっと安くならないかと交渉してきていましたが
本田先生が実現してくださいました!!

これも大阪市に「おおさかワンニャンPT」ができ、「動物愛護基金」ができたことで実現したのです。

本田先生は、この設立にご尽力くださいました。
実は、このあとのお話が面白かったのです!

困ったときはどうするか、行政に耳を傾けてもらうにはどうするか
その方法を面白おかしく教えてくださいました!

そして
「猫に関わる人たちは有能な人材なので、いつまでも猫問題に関わらせておくのはもったいない。
早く猫問題を解決して、その有能な人たちに、福祉や地域社会で活躍してもらった方がいい。」
とワタシに教えてもらったと!!

え~っ!!そんなこと覚えていてくれはったんや~!!(笑)

最後に、
「ひとりで抱えこまないで。みんなで話し合い助け合って。」
と呼びかけられました!!

ブレーンストーミング

私、ヤマダさんが加わり講演者に質問を投げかけたり、見を出して可能性を考えたりしました。
いろいろと有意義な意見・考えが出ました。
ここにはちょっと書ききれません・・

実際、あまりにも皆さんぶっちゃけすぎて、ここに書けないこともたくさんあります(笑)
今回、参加しなかった方は損ですよ~!
とても聞けないような内容が盛りだくさんでした!

ただ、ひとつ言えることは、国にも府にも市にも
どんどん働きかけていくことが必要だということ!!

行政は国民・府民・市民のニーズがあって、初めて動けるのです。
不平不満やグチではなく、建設的な実現可能な意見や案を、どんどん出して伝えていきましょう。

※「パピのねこ日記」とレイアウトや写真が異なるところがありますが、著者の荒井りかさんから了承をいただいています。

「2018年度 動物行政の現状と課題」アンケート結果

今回は会場が満席のため、机を用意することができませんでした。そのため、アンケートの回答者数は68名(回収率77.2%)に留まりました。しかし、アンケートにご協力くださった方のご意見は、非常に熱のこもった真剣なものばかりでした。ご協力、ほんとうにありがとうございます。

(1)本日の勉強会に参加された理由をお教えください(複数回答可)

今年改正される予定の「動物愛護管理法」に関心があるが、参加理由のトップで、44名。次いで、大阪府、大阪市の取り組みを知りたくて参加くださいました。

意外だったのは、「ボランティア活動をしている」と答えた方が31名で半数に満たなかった点です。実際、他府県の市会議員さんや繁華街の環境浄化推進をされている事務局の方、社会福祉協議会の方といった方々も参加くださいました。ボランティア活動をしていなくとも、動物行政に関心のある方が多いことがわかったことは大きな成果です。

また、自由回答で「実際にボランティアをされている方からお話が聞けて、今後の活動に活かしていきます」というご声がありました。動物愛護・福祉をボランティアだけの枠に閉じこめず、さまざまな方々との対話を広めるきっかけになりました。

(2)本日の勉強会全体に対するご感想をお聞かせください。

半数が「非常に満足」と回答。「満足」と合わせると91%の方が今回の勉強会に満足いただけたことになります。

自由回答の声を拾ってみますと、「府市、国の動きが同時にきくことができて良かった」を筆頭に、「直接かかわっておられる議員さんのお話がきけて良かったです」「議員さんがよく勉強してくださっているので、頭が下がります」「府議と市議のお話に感動しました」「リアルな話が聴けました」といったように議員の方々の本音の話を聴く機会になり、喜んでいただきました。

また、『地域との合意』についてのブレーンストーミングについては、「とくに荒井さんの地域とのかかわり方などのノウハウはとても内容深いお話でした」「行政とのかかわり方、町会の重要性、善良な市民となる大切さを理解できました」「不幸せな猫をなくすためには動物だけでなく人にも優しい社会を作ることなんだということがわかった」といった、ボランティア活動を超えた新しい発想が芽生えはじめているのがわかります。

(3) NPO法人ペットライフネットは、高齢者とペットがともに安心して暮らせる社会を築きたいと願っています。
そのためにセミナーや勉強会を開催していますが、以下のテーマのなかで関心がある、参加してみたいと思われるものがありましたら、〇をつけてください。(複数回答可)

43名の方が「ボランティア活動と地域、自治会、行政とのネットワークについて」に関心があると答えました。今回の勉強会の趣旨が参加者のみなさんにしっかり通じた結果です。

自由回答で、「府、市、ボランティアがつながることによって、できる範囲が広がることを期待しています」という声をいただきましたが、連携することにより何ができるのかを考えることが次のテーマになりそうです。