「震災で消えた小さな命展」と「ペット同行避難」のこと

 

1月29日、尼崎市で開かれている「震災で消えた小さな命展」の展覧会(2月2日まで開催)と、その代表であるうささんの講演をPLN理事の吉本と一緒に行ってきました。

http://chiisanainochi.com/

震災で失われた小さな命展①-224x300東日本大震災で犠牲になった沢山の命の中に、人以外にも多くの生き物達の命もあった事、人に飼われていたペットや家畜、野生動物、虫や植物………等々。

代表のうささんがボランティアで被災地を訪れた際、被災者の方が家族同様に可愛がっていたペット達の死に対して心の傷をずっと抱えておられるのを知り、少しでも慰める事が出来ればと、一人一人の飼っていらしたペットの話を聞き取り、その絵をプレゼントしようという事から始まった展覧会です。

被災者の方の中には亡骸の姿が目に焼き付いて、元気だった頃の姿を思い出せなくなってしまった方もいたそうで、その絵を前にようやくその姿を思い浮かべる事が出来たと言う話を伺いました。

一点一点の絵の中にいる、今はもう空の上にいるペット達……。

どの子も、その姿は見るものに深いまなざしや微笑みを浮かべて、じっとこちらを見つめて語りかけているようで、ペット達の思い、飼い主の方の思い、絵を描いた画家の思いが押し寄せて来て、胸がつまり痛くて絵の前からなかなか動けませんでした。そして、私たちは何をすれば良いのか、また、そう言う事を考えて行く事がこの亡くなってしまった命を無駄にしないために私たちに出来ることなのだとも。

その答えの一つが災害時の「ペット同行避難」であり、今回聞いたもう一つの講演の内容です。

この展覧会のモチーフとなったペット達のほとんどが、同行避難が周知出来ていれば救えていた命だった事、避難所へ連れてゆくのを飼い主が躊躇われたり、又は拒否されたり、様々ですが、そのために家族同様だったペットを失った方の思いは如何ばかりか、その無念さがひしひしと伝わってきました。

現在、環境省から「ペット同行避難」についての指針が出されていますが、具体的に取り組んでいる自治体は少ないのが現状です。その数少ない、対策を行っている新宿区保健所衛生課から新宿区の動物救護マニュアルの紹介があり、有効な情報だと思いましたので、参考までにリンクしておきますね。

http://www.env.go.jp/jishin/attach/shinjuku_animal-manual_main.pdf(※PDFで開きます)

<ペットの為に準備しておきたい防災用品の一例>
・フード及び水
・動物の常備薬
・食器
・トイレ用品(ペットシーツ、猫砂など)
・首輪及びリード
・健康の記録(既往歴、ワクチン接種歴がわかるもの)
・写真(飼い主と一緒に写っているもの)
・ケージ、キャリーバッグ

これから将来大きな地震が来る事が予測されていますが、まずは災害時にペットを守るのは飼い主の責任だということ。日ごろからの備えや、そして同行避難を円滑にするために、近隣のペットを飼ってない人との友好な関係と理解が最も大切だと、この講演の中で強く感じました。

またペットは人間と同じ様に家族であり、どの生き物の命も等しく大切なのだと知ってもらう事、PLNに関心を持っておられる方の想いも同様だと思いますが、この展覧会が各地で人々に伝えたいものが何かを感じる事が出来た気がします。

最後になりますが、今回聞いたこんな話をあわせて紹介します。

展示風景-300x225アメリカでの事、災害時ヘリコプターに救助されようとした高齢の女性が大切そうに抱えていた小さな犬を見て、救助員が規則で動物は救助出来ないと降ろそうとした時、その救助員の上官が「それは動物ではなくその方の薬だ」と言ってヘリに乗せたそうです。まさしく!ペットは飼う人にとって、家族であり、心の支えであり、薬なのです。

私にも大切なペットがいます。
いざと言う時にこの子達を守るため私は何を考え、行動し、何を準備しなければいけないのか、改めて考えさせられた展覧会と講演でした。

松井 しのぶ