18歳のハクが教えてくれたこと

ハク地球阪神淡路大震災から半年後、芦屋の仮設住宅で誕生したのがハク、18歳です。当時、我が家には姉猫が 2匹いて、来た時からコソコソとお尻を引くようにして隠れる気の弱い子でした。この気性、いつまでたってかわりません。もちろん、抱っこはさせてくれませ んし、爪切りなんてもっての外。何となくハミゴな感じで18年がたってしまいました。 ところが今年に入って、ハクの夜泣きが止みません。寝ぼけ眼でカリカリをやると、ひとまず静かになるものの、また唸るような恨むようなスゴミのある声で鳴 きます。「ボケたのかな」といぶかりつつも、病院には連れて行かないで過ごしていました。

マンションの一室からでたことのない19歳の猫を病院へ連れて 行ったのが仇で、過呼吸で亡くしてしまった辛い経験があるからです。 そんなある日、夜に家に帰って電灯をつけると廊下の真ん中に光るものが…。ひょっとして、水たまり?? 以来、おしっこの水たまりはいろんなところに出没 し、おしっこ拭きが日課になってしまいました。そんなハクをじっくり見ると、目にはヤニがたまり痒そうです。あれだけ食べるのに背中の骨が浮き出ていま す。この体調だと猛暑の夏を乗り切ることはできないかもしれないと覚悟しました。同時に、食事さえ与えておればよい的な接し方ではなかったかと、自分の薄 情さに愕然としました。

その日から、いくら嫌がっても目の周りをガーゼで水洗いし、か細いカラダにブラッシングをかけるようにしました。するとどうでしょう。2週間もたたないうちに、水たまりは消え、夜泣きもなくなりました。大変な回復力です。 人間でいえば100歳に近いハクです。そんなに長く一緒に暮らせないかもしれませんが、心を通わせる時間を大切にしたいと思っています。 ※残念ながら11月6日の早朝にハクはなくなりました。ハク、この18年間、ありがとう。

吉本 由美子